一時保護所の役割と生活

テレビの報道で「児童相談所の一時保護所」というワードを耳にする機会が増えてきました。「一時保護所は児童相談所とは違うの?」「児童養護施設とは違うの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

この記事では、児童相談所に勤務していた私の体験をもとにして一時保護所の基本と実際の生活をご説明します。

児童相談所の一時保護所とは

虐待や非行などさまざまな理由により親と暮らすことが難しい子どもや行動観察が必要な子どもが一時的に保護される施設です。児童養護施設に行く前に一時的に入所する子どもも多いです。

児童相談所に併設されていることが多く、カウンセリングや心理検査は児童相談所の本館、日常生活や勉強は一時保護所で行われています。

運営費は国の補助が半分、地方自治体の補助が半分の税金でまかなわれている施設です。

入所の理由は虐待や非行など

入所している子どもは虐待を受けていたり、親の入院や逮捕で療育者が不在だったり、非行で療育者が困っていたりする場合が多いです。そのほかにも不登校の子どもの行動観察のために機能することもあります。

一時保護所の職員は教員や保育士の免許を持つ人が多い

職員は教員や保育士の免許を持つ人が多く、学生アルバイトが非常勤職員として勤務することもあります。一時保護所では子どもが24時間生活するため、職員も24時間体制で勤務しています。夜勤や準夜勤など時間帯をズラして対応しています。

数字で見る一時保護所 

保護所は全国に136箇所(平成29年時点)設置されています。保護される子どもの数は年間約1万人で、そのうち半数が児童虐待によるものです。

一時保護所の生活

一時保護所での生活は制限が多く、中には「刑務所のようだ」と表現する子どももいます。実際に下記の制限の中で生活します。

・2~18歳が一つの建物で集団生活
・職員の同行なしの外出禁止
・学校に行けないため、保護所内で勉強もする
・基本的に私物は使用しない
・勉強道具や衣服も一時保護所のものを使う
・スマートフォンや電話の使用は禁止

施設によって制限度合いは異なりますが、上記はどこの施設でも共通しています。施設内の雰囲気はなごやかだとしても、初めて一時保護所に入所した子どもにとっては不自由が多く厳しい場所に感じられるはずです。

特に中高生はスマートフォンが使えないことが不安になり、友達への連絡ができないことにも不満が募るようです。

一時保護所のスケジュール

あくまでも私が勤務していた施設の例です。より制限が多く厳しい施設もあります。

基本的に規則正しい生活リズムで過ごします。私が勤務していた施設では9時就寝で7時起床だったため、子どもたちは10時間の睡眠時間を取っていました。

起床時間、就寝時間

原則消灯時間が決められています。集団で生活するため、「受験勉強があるから夜更かしする」「夜のテレビを観る」などはできません。

勉強時間

午前の3時間が勉強時間でした。受験生や勉強したい人は午後や夜の自由時間に自主的に勉強する形です。授業のように時間を決めて勉強をしますが、進捗は一人一人異なるため、ほとんど自習のような勉強スタイルです。教員免許を持っている職員や教員が出向で来ていることもありますので、質問をすればしっかり進めることができます。

自由時間

私が勤務していた施設にはテレビやDVDプレーヤー、CDプレーヤー、ボードゲーム、手芸セット、体育館と遊具、ぬりえセット、お絵かきセット、大量のまんがや本がありました。多くの子どもはその中から好きなものを選び、遊んでいました。ほかにも勉強したい子は勉強、職員と話たい子はおしゃべりなど自由でした。

食事

朝昼晩と給食が出ます。アレルギーの子どもにも対応しており、除去食や代替食も準備されていました。学校の給食のシステムとほとんど同じです。

お風呂

1人ずつ入ることができます。施設に20~30人が入所していることもあるため、昼過ぎから順番に入浴します。2~6歳児は一人で入ることができないため、職員が2名ほどついて入浴します。

行事

クリスマスや夏祭りなど催し物も開催されます。また月に数回は「所外活動」として、科学館や図書館、テーマパークに遊びに行くこともありました。

制限はあるものの、規則正しく清潔に暮らすことができます。多くの子どもは家に帰りたがりますが、重度の虐待を受けていた子は「ずっとここにいたい」と話すことも。

施設によって生活スタイルは異なりますが、私が勤務していた施設では楽しくなごやかに生活していました。

最後に

一時保護所は虐待児や非行の子どもを一時的に保護する施設です。そのように聞くと「殺伐とした場所」をイメージしますが、私のいた保護所はなごやかな雰囲気でした。もちろん楽しむ目的で入所するわけではないのですが、心が下がっている状態の子どもが笑顔になれる場所を作ることは非常に大切だと感じています。

一時保護所としての主要な役割をまっとうしつつ、入所している子どもが楽しめる場所にできたらと思いながら勤務していました。