虐待と貧困の相関関係

児童虐待の発生する家庭には一定の傾向が見られます。そのひとつが「貧困」です。日本に限らず、世界的に見ても貧困と虐待には強い相関関係があることが分かります。

この記事では、虐待と貧困の関係性や子どもの貧困率についてご説明します。

虐待と貧困の相関関係 

参考:https://www.jcsw.ac.jp/research/gakunaigakkai/files/51_tssw_013.pdf

虐待と貧困の関係性は以前から指摘されています。アメリカでは1970年代からデータとして現れています。特に性的虐待は所得が一定以上の家庭と比べて約18倍の発生率、ネグレクトは約45倍にのぼります。実際に虐待が起こっている家庭でのアンケート結果からも「経済的困窮がある」と自覚している親が多いことが分かります。

日本は子どもの貧困率が高い

現在日本では7人に1人の子どもが貧困状態だと言われています。平成3年から平成27年のあいだの子どもの貧困率は12~16%の推移です。この数値は他の先進諸国と比較して非常に高い傾向があります。特に一人親家庭における貧困率は半数以上で、家庭によって受けられる教育が変わってしまう現状があります。

義務教育でも制服や修学旅行代などは高いですし、大学授業料は国公立でも年間50万円以上。貧困家庭における教育費の占める負担は非常に大きなものです。

貧困以外で虐待が発生しやすい要因

参考:https://www.pieces.tokyo/hinkon-koritsu

貧困以外にも下記の要因をかかえる家庭では虐待が発生しやすいです。

・ひとり親家庭や離婚や再婚などの家庭状況の変化

・親自身の精神的健康が損なわれている

・親の産後うつなどの抑うつ傾向

・親の低年齢

・地域での孤立

・子どもの発達特性

・子どもの人数

なぜ貧困家庭では虐待が起こりやすいのか

さまざまな要因が重なっていることが多いですが、生活基盤が脆弱なことで心身が不安定で、子育てにも負担感を感じることが多いようです。

一人親家庭における貧困問題問題

特に母親のみの家庭(シングルマザーの家庭)での貧困問題が顕著です。日本のシングルマザーの就労率は9割以上と高いのですが、女性の正規雇用率は40%台と低い数値を示しています。ヨーロッパでは女性の正規雇用率が80%を超える国も多いので、日本の女性の正規雇用率の低さがうかがえます。

6割弱の女性が非正規雇用で働いており、パートを掛け持ちしてなんとか子育てをしている、という方も多いのです。

ただでさえ一人で育児をするのは大変ですから、ダブルワーク、トリプルワークは心身への負担と孤立感を高める要因になります。

父親からの養育費等の支援を受けている母子家庭世帯は3割程度で、養育費を十分に確保できていない世帯が多いことも特徴です。

母子家庭と父子家庭の賃金格差

父子世帯全体の平均年収は421万円ですが、母子世帯全体の平均年収は213万円です。一人親家庭という点では同じですが、母子家庭世帯の方が約半分の年収です。

健康保険にも加入していない母子家庭世帯もあり、賃金の格差や社会保障の格差も大きいです。

無料で子育て相談を受けられる機関 

経済的に困窮すると心の余裕がなくなり、「誰かに相談する」という発想がわかないこともあります。しかし、無料で子育て相談に乗ってくれる機関が地域ごとあります。

児童相談所

虐待の専門機関と思われがちな児童相談所ですが、子育ての不安や悩みを全般的に相談できる機関です。経済状況や生活状況に引け目を感じると相談しづらいですが、専門の職員もいますので気軽に連絡してみましょう。

子どもの特性によっては心理検査をしてもらうことも可能です。

福祉事務所、子育て支援センターなど

自治体には子育てに乗ってくれる機関があります。子どもの発育発達に詳しい相談員が在駐していますので、まずは電話などで相談してみましょう。

諸外国での取り組み

イギリスやドイツ、スウェーデン、フィンランド等では国をあげて貧困政策に取り組んでいます。例えばイギリスでは幼少期にお金を配布し、貧困家庭にはその後もお金を配布されます。これは子どもが成長するまで引き出せないもので、将来の教育費などに使われることになります。

そのほかにも税金などを使い、公的な支援をしている国が多くあります。日本でも子ども食堂などが増えてきてはいますが、まだまだ十分な支援が受けられているわけではありません。貧困家庭での子育ては厳しい現状があります。

最後に

児童虐待と貧困には相関関係があります。無料で相談できる機関もありますので、周囲の人が困っているときには声をかけ、適切な機関を紹介してあげることも大切です。