ノーモア児童虐待!

今からこの記事をぜひお読みいただきたい対象となる方は、現在、程度の差こそあれ実際に子どもを虐待してしまっているという方、もしくは身近に子どもを虐待している可能性がある人を知っている方たちが主です。「そんな恐ろしいことに自分は関係ない。関係したくもない」という方が大部分かもしれませんが、そんな方たちも絶対に自分とは無縁だと言い切れるでしょうか? 知識として知っておいてもらうだけでも、いつか役に立つときが来るかもしれません。一人でも多くの罪のない子どもを救うためにも、私たち大人の一人ひとりに知っていただきたいのです。

・どんなことが虐待に当たるの?

子どもの虐待死事件の報道が、相変わらず後を絶ちません。なぜ過去に起きた事件から親たちは学ばず、同じ過ちを繰り返すのでしょうか? そのことについて考える前に、死に至らしめないまでもどんなことが虐待に当たるのか? それをまずまとめてみましょう。

児童虐待の定義としては、大きく分けて以下の4つが厚生労働省のホームページで挙げられています。

1.身体的虐待

2.性的虐待

3.ネグレクト

4.心理的虐待

このうち、1と2についてはわかりやすいと思いますが、3のネグレクトの代表的なものとしては身体や衣服を不潔な状態で放置することや、病気になっても適切な医療を受けさせないなどといったことが挙げられます。

また、4の代表的なものとしては、面前DVといって、子どもの目の前で他の家族に暴力を振るうといったことが挙げられます。いわゆる「言葉の暴力」なども、この心理的虐待に含まれます。

・なぜ子どもに虐待をしてしまう親がいるの?

ある統計では、子どもを虐待する親には次のような背景を持つ親が多いということがわかっています。ひとり親・経済的な困難を抱えている親・周囲から孤立している親・夫婦間の不和に悩んでいる親・子育てに疲れている親。

けれども、このような背景があっても子どもを虐待しない親ももちろん多くいますし、反対にこのような事情を抱えていなくても虐待に走る親もいます。環境がどうであれ、親自身の人格の問題も大きいことは言うまでもありません。

・虐待を受けることは、子どもの成長にどんな悪影響を与えるの?

虐待を受けた末にその命まで子どもが奪われてしまった事件を見ると、その多くが子どもの死亡時において著しく低身長・低体重であったことが報告されています。つまり、それらの子どもたちの状態は、生前、親から十分な愛情が与えられなかっただけではなく、成長に必要である適正な栄養や睡眠すらも与えられなかったことを示しています。これが、先ほどの3のネグレクトの結果なのです。

虐待を受けることは、子どもの身体面だけではなく精神面のすこやかな発達の面でも大きな妨げとなります。一番守ってくれるべき存在である親から暴力を受け続けることによって人としての素直な自己肯定感や他者への信頼感が育つはずもなく、反抗的・暴力的な態度や抑うつ状態などになり、死ぬまで改善できないままに人生を送ることになる人も多いといわれています。

また、親から愛情を受けずに育った反動から、性依存症・アルコール依存症・麻薬中毒などに陥ってしまう人も少なくありません。親からの正常な愛情を常に欲求し、常に満たされないという繰り返しが、その代償として他のものを強く求め、依存にまで至らせてしまうのかもしれません。

・虐待を見聞きしたら? 虐待の芽を自分の中に見出してしまったら?

成長期の子どもにとって、一日一日はかけがえのないものです。長い人生の土台をつくるべき時期にすべての子どもたちが適正な養育を受けられるように、私たち大人の一人ひとりが努めていかなければなりません。自分の子どもを持っていない方であっても、社会の一員として子どもたちの健全育成についての責任を一人ひとりが負っています。

もしも虐待を疑うようなことを見たり聞いたりしたときは、ためらわずに通報してください。結果的に勘違いであったとしても、知らぬふりをして尊い子どもの命が失われるよりはるかにマシです。

そして、「現に、自分自身がわが子を虐待してしまっているかも……」「いや、これくらいなら虐待のうちには入らないだろう。子どもも自分を愛し、必要としてくれているし」と思っている方こそ、早く誰かに相談してみてください。相談相手は友人をはじめ、自分の親でも、保育士さんでも、保健師さんでも、学校の先生でも、自分のかかりつけのお医者さんでも、隣に住んでいる人でも、誰だっていいのです。相談の結果、もしかしたら一時的に子どもと引き離される可能性もあるかもしれません。そうなったらさぞかしつらいことでしょう。

でも、育児にはふと立ち止まる時間も時には必要です。24時間待ってはくれない子どもを相手に一人で煮詰まってしまってはいませんか? 大人だって泣きたいとき、甘えたいときはあるのに、子どもに泣かれるばかり、甘えられるばかりの状態が続いて、張りつめていた糸が切れそうになる瞬間はありませんか? そんな瞬間が虐待への入り口になってしまう可能性は誰もが持っています。

一人で悩まず、一人でがんばり過ぎず、時間がないからと敬遠せず、今の自分の状態を誰かに相談してみませんか? すぐに解決策が出てこなくても、何かしらヒントになることもきっとあるはずです。長い人生の間で数年後、数十年後に、「あのときの一瞬の決断が自分と子どもの人生をよりよい方向へ変えた」と思うときもやがて来ることでしょう。